「PF 1.5 以上が良い EA の目安」――FX EA を調べると必ず目にするこの数字。だが本当だろうか? PF だけを見て EA を選ぶと、確実に痛い目を見る。本記事では、プロフィットファクター(PF)の本当の意味と、PF 単体では見えない落とし穴を整理する。
プロフィットファクター(PF)の計算式
PF = 総利益 ÷ 総損失
例えば、100 万円の利益と 60 万円の損失なら、PF は 1.67。1.0 を超えれば理論上プラス収支、ということになる。
PFレンジ別の解釈
| PF | 評価 | 解釈 |
|---|---|---|
| < 1.0 | ❌ 不可 | そもそもマイナス収支。検証する価値なし |
| 1.0 〜 1.3 | ⚠️ ノイズ範囲 | 少しのスプレッド差・スリッページでマイナスに転落する |
| 1.3 〜 1.5 | ○ 検討可 | 実運用で「+α の検証」をすれば候補に |
| 1.5 〜 2.0 | ◎ 良好 | 実運用に乗せられるレベル。最大 DD と取引数の確認が前提 |
| 2.0 〜 3.0 | ★ 非常に良い | ただし、出来すぎ。過剰最適化・期間限定の可能性を疑う |
| 3.0 以上 | 🚨 要警戒 | カーブフィッティング or ナンピン EA の可能性大 |
PF だけを見ると痛い目を見る理由
1. 取引数が少ないと PF は信用できない
取引数 10 件で PF 3.0 と、取引数 1,000 件で PF 1.5。後者の方が圧倒的に信頼性が高い。統計的有意性は取引数で決まる。最低 100 件、できれば 300 件以上のデータで評価すること。
2. 最大DD と組み合わせて見る
PF 2.0 でも最大 DD 60% なら、実運用ではほぼ確実に途中で資金枯渇する。PF / Max DD 比率(PF が高くて DD が小さい)が重要。目安は PF ≥ 1.5 かつ Max DD ≤ 30%。
3. ロット制御の有無で意味が変わる
ナンピン・マーチンゲール EA は構造上、PF が高く出やすい。だが、これは「勝てる時に大きく勝ち、負ける時は破綻するまで勝負を引き延ばす」設計なので、PF 数値は実態を反映しない(ナンピン EA の DD が深刻になる理由)。ロット可変型 EA の PF は、固定ロット型より割り引いて見ること。
4. 期間によって PF は大きく変わる
2015〜2023 年の長期検証で PF 1.8 でも、2020 年だけ切り出すと PF 0.7 ということがある。市場環境ごとの PF 変動を見ること。年単位・四半期単位での PF 推移をチェックすると、EA の「効く相場・効かない相場」が見えてくる。
5. リスクリワード比とのバランス
同じ PF 1.5 でも、勝率 70% × RR 1:0.7 の EA と、勝率 35% × RR 1:3 の EA では性格がまったく違う。前者は負けトレードが少なくて精神的に楽、後者は勝つ時に大きい代わりに連敗が辛い。自分の運用スタイルに合うか見極める。
PF を「読む」ための具体的なチェックリスト
- 取引数は 300 件以上か?
- 最大 DD は 30% 以下か?
- 固定ロット型か、可変ロット型か?
- 年単位の PF 推移は安定しているか?(極端な年がないか)
- 勝率と RR のバランスは自分に合うか?
- 検証期間と運用予定期間の市場環境は似ているか?
- スプレッドはリアル想定(最悪値)で検証されているか?
FX AI研究所の検証スタンス
当研究所が公開する EA の検証データは、以下を必ず併記する方針だ。
- 取引数(最低 300 件)
- PF + 最大 DD + 勝率 + RR
- 年単位の PF 推移
- 検証スプレッド条件(リアル想定の最悪値)
- フォワードテスト結果(運用環境での再現性)
「PF 2.0、勝率 95%」だけを売り文句にすることはない。勝てる相場と勝てない相場を、データで明示する。それが本当の意味での「検証」だと考えている。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の取引・銘柄を推奨するものではありません。FX・EA 取引には元本毀損リスクがあります。詳細は リスクディスクロージャー をご確認ください。